THE NOVEMBERS特集

【THE NOVEMBERS】圧倒的なライヴパフォーマンスと独自の世界観で聴く者の心を捉えているTHE NOVEMBERS。前作『paraphilia』から1年、新境地に辿り着いた渾身のニューアルバムが完成した。生命力溢れるその本作について、ヴォーカル&ギター・小林祐介が語る。



――『Misstopia』という美しい異世界に引き込まれるように聴かせてもらったんですが、これはバンドとしても会心の一撃では?

小林祐介(Vo&G):そうですね、自分でもすごく良いものが出来たと思うし、作れて良かったと思ってます。毎回、そういった感慨はあるんですけど。

――制作に入る前は、どんなアルバムにしたいと?

小林:あの、完成型のイメージとか、そういうのが一切ないまま作り始めて。イメージとかコンセプトを設けないようにしよう、とさえ思わず、ただ黙々と、好奇心の赴くままに作っていって。

――へぇ! コンセプト・アルバムと言えるくらい統一された世界観があるから、すごく意外でした。

小林:むしろ、アンコンセプト・アルバムですね(笑)。候補曲が20曲くらいあって、それを同時に作っていった感じなんですけど。それが――どういう経緯かは詳しく覚えてないんですけど――いつの間にか11曲が必然的に残っていたという。

――アルバムの全貌が見えてきたのって……。

小林:出来上がってから、です。「作品が出来た!」って思えたのが、ホントにマスタリングが終わって帰りに聴いてる時で。達成感みたいなものはすごくあったんですけど、それは「区切りが付いた」とかではなくて……結果的にこの作品に結びつくであろうことを去年からずっと続けてきてたんで、区切れないんですよね。現に今も、気持ちはまだ真っ最中みたいな感じで。それはやり残したことがあるっていうことではなくて。

――精神的にはまだ『Misstopia』から抜け出し切れてないと?

小林:そうですね。独特の高揚感とソワソワした感じがずっとあります。前作(『paraphilia』/2009年3月リリース)は、作り終わった瞬間に達成感があったんですけど。今回は後になってから、出来上がったものを客観的に見て、ちゃんと成立してることがわかったので、それはすごく嬉しい驚きでした。確信的に制作したとはいえ、やろうと思ってやったことではなかったので。

――なるほど。とにかく1曲目の「Misstopia」という曲がすごく良くて、表題になっている通りアルバムを象徴するものだと思うんですけど。この「Misstopia」という言葉にはどんな意味合いが?

小林:そもそも思い付きで僕が考えた造語なんですけど、「失う」っていう意味の“miss”と、「utopia(理想郷)」とか「dystopia(破滅郷)」の“topia”を組み合わせて作りました。「Misstopia」って直訳的に言えば“失われていく場所”っていう解釈ができると思うんですけど、意味よりも、音と字面が気に入ってつけました。後からついてきた意味もあるんですが、あくまで後付けなので好きに解釈してくれてかまいません。

――あぁ、なるほど。実際、歌詞には“心”っていう言葉がたくさん出てきますよね。

小林:歌詞は夢中で書いていったので、重複とかは考えなくて。全く無意識ですね。でも、心って言葉自体が人間の発明じゃないですか? 心って呼ばれるものはみんな確かにあると思ってて、僕もあると思うんですよ。でも、心って何かわからないし、どこにあるのかもわからない。でも、失ってはいけないものだっていうことだけはわかるんですよ。

――失ってはいけないもの、何よりも大切なものを仮に「心」って呼んでるのかもしれないですね。

小林:そうですね……その、「仮に呼んでいる」っていうのはすごくしっくりきますね。

――「Misstopia」って逆説的なパラダイスだと言えると思うし、このアルバムでNOVEMBERSは自分達のための清く美しい楽園を目指したんじゃないかなって。一見背徳的というか退廃的なイメージを受けるかもしれないけど、実はすごく生命力に溢れた、素晴らしいアルバムだと思います。

小林:ありがとうございます。僕もそう思います。生命力って、良いですね。メモしときます(笑)。

――でも良かったですよね、ちょうどバンドが始動して5年の節目にこんな作品が出来きて。

小林:小林:もうそんな経ちますか!? そっか、5年もやってるんですね……

――はははは。例えば今から5年後のバンド像って、どんな風に想像してますか。

小林:あぁ……今よりもたくさんの人に、ありとあらゆる人に聴いていてもらいたいなっていうのは、すごくあります。でも、聴いてもらうために自分の表現が何か変わるってことはなくて。自分がやりたいようにやったことを聴いて欲しいっていう、すごく恣意的で自己中心的なものだと思うんですけど。前向きな意味合いで。でも、だからこそ自分の表現に責任が持てると思うし。

――今度のツアーは、ファイナル(5月21日)が赤坂BLITZワンマンで。着実にバンドとしてのスケール感が大きくなってますね。

小林:そうですね。BLITZ……すごくたくさんの人が観てくれると思うので、僕らは僕らで、嘘のないステージというか、バンドとして良いと思えるステージをやり切りたいですね。どのライヴ会場も同じなんですけど、それでお客さんが思い思いに楽しんでくれたら素晴らしいなと思います。

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