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ハリー・コニック Jr 。言わずと知れた全米を代表するエンターテイナーであり、ボーカリストにして俳優、そして優れたジャズ・ピアニストでもある。わずか5歳にして初ステージを踏み、19歳で初めてのアルバムを発表した彼は、今年、記念すべきデビュー20周年を迎えたが、これまでのアルバム・セールスは累計2,000万枚を超え、グラミー賞も3回受賞(その中にはハリーが手がけた映画「恋人たちの予感」の音楽も含まれる)。アクターとしてもトニー賞、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞などに何度もノミネートされているというまさにスーパースターの名に恥じないその活躍ぶりは、ジャズに興味のない人でもきっとご存知だろう。
ビッグ・バンドやオーケストラをバックにスタンダード・ナンバーを甘い声で歌う現代に甦ったフランク・シナトラ――おそらく一般的にはそういったイメージが強いであろうハリーだが、ピアニストとしての腕前もかなりのもので、過去の作品でもことあるごとにその達者なプレイを披露してきた。そんなジャズ・ピアニスト=ハリー・コニック Jr.、そして生気溢れるビッグ・バンド・ジャズの魅力がアルバム1枚たっぷり味わえるのがこの『シャンソン・デュ・ヴ・カレ』だ。リリースは人気サックス奏者ブランフォード・マルサリスが 02 年に設立した自主レーベル、マルサリス・ミュージックから。ハリーはこのレーベルからConnick on Pianoシリーズの『Other Hours』とブランフォードとのデュオ・アルバム『オケージョン』を発表しているが、本作はそれに続く第3弾となる。とはいえ厳密には本作は新録音作品ではなく、03年に録音されていた未発表音源集。03年といえばハリーは5月にハリウッドの伝説的スタジオ、キャピトル・スタジオで、かつてナット・キング・コールが使用していたというピアノを弾きながら、クリスマス曲集『ハリー・フォー・ザ・ホリデイズ』とバラード集『オンリー・ユー』という2枚の名盤を吹き込んでいるが、本作はそのアルバムに伴うツアー終了後、その気心の知れた才能豊かなメンバーらとともに録音された。本作で取り上げられている楽曲は、自身のオリジナルと生まれ育った故郷ニューオーリンズゆかりのスタンダード。このアルバムと同時にハリーは、ハリケーン・カトリーナで被害を受けた故郷への深い思いを歌に託した『オー・マイ・ NOLA 』というボーカル・アルバムも発表しているが、この作品にも同様の思いが込められており、印税の一部はカトリーナで被害を受けたアーティストとその家族に送られるという。いずれにしてもここで聴けるニューオーリンズ・スタイルを継承しながらモダンな感覚も兼ね備えたハリーのピアノ・プレイの味わいは格別だ。さらに、彼の編曲家、コンダクターとしての才能にもあらためて気づかされるに違いない。

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